ヨーヨーのストリングスを作ってみよう

原文:yama@18
校正:しげぞー、eagle0wl
ポリエステル糸でストリングスを作ろう

糸(ストリングス)の構造と性能を知る意味では糸を作ってみるのが一番です。ヨーヨーのパーツの中で手作りできる唯一のものがストリングスだからです。

スリックシリーズの原点となった、川元さん(コンバトラーVの中で実写ヨーヨーを実演されていた方)の究極のストリングスの作り方を紹介しますので、ぜひ実践してみて下さい。

材料

一般にミシン糸として売られている30号の糸(手芸用で使われているミシン糸のポリエステル100%がお勧め)100円ショップでも購入可能ですが、手芸店などで(300円以下)買えるのでこちらをおすすめします。色もたくさんあるので、好みで選ぶこともできます。

用意するもの

Fig.1
はてなフック
・ドリル(またはミニ四駆)
・はてなフック (Fig.1) 2つ。あるいは糸を引っ掛けることのできる場所
・ポリエステル100%の30号ミシン糸(30号が基本ですが、太さや色は各自で調節してみましょう)
・ヨーヨー




作り方

1.必要な糸の長さの2倍+αの距離の幅にフックとドリルを配置します(ドリルの先端にもはてなフックをつけておきます)。

Fig.2


2.ドリルとフックの間に3往復(6本)の糸を張り、フックかドリルの位置でしばります(往復ではなく直線で6本並べ、両側でしばってもいい)。ミニ四駆の場合はタイヤに引っ掛けます。

Fig.3

必ずこの間の位置にたるみがないように、ぴんと張った状態で準備してください。


3.ドリルを回します。時計回りに回すと一般的な右よりのストリングスに、左に回すと、逆よりのストリングスになります。このときのテンション(フックとドリル間の引っ張りの力)が弱いと、しまりの悪い糸になります。

Fig.4


4.ドリルを巻いていって、ドリルとフックがそれ以上近づくと、自身のよりでストリングスが巻き取られるぐらいまで巻き続けていきます。

Fig.5


5.充分に糸が巻けたら、中心位置にヨーヨーを置きます。

Fig.6


6.フックとドリルから糸を外し、ヨーヨーを中心に糸を2つに折り、ヨーヨーを重しにして、糸のよりを使って2本をよって束ねていきます。

Fig.7


7.最後に自分の使う長さのところでフィンガーホールを作り、余分な糸をカットして完成です。

Fig.8


製作の過程で分かったこと
・2倍の長さの糸を2つ折りにする場所が、ヨーヨーを取り付ける部分のループになっています。
・糸のよりは、製作時のより具合で決定します。
・糸のまとまる強度は、製作時の引っ張る力(テンション)に依存します。
・最初に敷設する糸の本数がスリックnとなります。(3往復の場合はスリック6、4往復の場合スリック8)

お試しで60号(30号の半分の太さ)、12本よりや綿糸を半分混ぜてみたり、色の違う糸を3本ずつよってみたりすると、自分に合った糸を作ることができておもしろいです。

昔は、カラーストリングスを作ると投げにくく、戻しにくいと言われていましたが、今のYOリングレスポンスなら問題ないと思います。金糸で編んだストリングスでも2回がけのバインドで戻って来るようです。



ストリングスに関する雑記

ストリングスの機能とプレイへの影響

よりが弱いとストリングスの硬さがなくなってきます。そうなると、レスポンスにかっちり噛まないので、戻りが悪くなります(ハイパーヨーヨーブーム時にバンダイが販売していた「バンダイストリングス」がそうでした)。そうなると与えられる回転力も小さくなります。

逆によりが強すぎると、硬すぎて反応が良くなりすぎます。ストリングスの弾力もなくなってきます。

Fig.9
よりの弱いストリングス

よりの弱いストリングスだと、ヨーヨーの溝の中でもふにゃふにゃしてしまい、レスポンスに反応せずに戻りにくくなります。



Fig.10
よりの強いストリングス

よりの強いストリングスだと、ヨーヨーの溝の中でもしっかりまとまっているため、レスポンスによく反応し戻ってきます。



テンションが弱いと糸のまとまりが悪く、ばらばらになってしまいます。また、回転力も悪く、投げにくく、しかも戻しにくいのです。


スリック6・スリック8

より合わせる糸の本数(スリック)と太さを調節することで、硬さやフィーリングなどを大きく変化させることができます。最近主流のスリック6とスリック8は、同じ太さの糸を6本または8本を寄り合わせています。

実物を見ると気が付くかもしれませんが、スリック8よりもスリック6が太いのです。寄り合わせる糸の数が少ないはずなのに、なぜそうなるのでしょうか。

それは、糸の寄りのきつさが違うからです。スリック8は、よりが強い糸ということになります。これは逆に弾力がないということでもあるので、使用時は好みで選択すると良いでしょう。


糸の長さ

ストリングスの長さはヨーヨーに与えられる回転力の強さに関わってきます。コントロールできる範囲内であれば、長ければ長いほどよいと言われています。

Fig.11


ストリングスの慣らし

新品のストリングスをヨーヨーに取りつけて使い始めると、初期伸びという現象により、長さや弾力が急激に変化してきます。初期伸びを防ぐために、使用前に引っ張っておくと多少伸びが緩和され、弾力の変化も小さくなります。


ストリングスの材質

ポリエステルを配合したスリック6の登場でヨーヨーシーンは激変しました。これにより、切れにくく、投げやすく、戻しやすくなりました。それまで主流だった綿100%ストリングスをあっさりと蹴散らし、ポリエステル50%、綿50%配合のスリック6はストリングスの主流になりました。どこが違うのか考えてみましょう。

綿100%

弾力があるものの強度は弱いため、切れやすい特徴があります。熱にも強いですが、洗った時の縮みが気になります。

ポリエステル100%

強度はあるものの弾力に乏しく、摩擦などの熱によって損傷しやすい特徴があります。熱以外の素材の変化が少ないので洗って使えます。

綿50%・ポリエステル50%

綿100%ほど弾力はありませんが、ポリエステル100%より熱に強いです。綿を含んでいるので洗うと縮む傾向があります。



材質的には一長一短、好みによるとしか言いようがありません。しかしスリック6には、それだけでは解けない秘密が隠されていたのです。

近年、色鮮やかなスリックシリーズのカラーストリングが登場しています。最初に出たスリックイエローは、染料が入っているため硬いという特徴がありますが、ストリングスがねじれにくいということでもあります。

やはり染料が入ると、ストリングスのコンディションが変化するのだろうと思われます。この微妙な違いがプレーヤーに受け入れられたともいえるでしょう。



ストリングスに関する雑談

旧ハイパーヨーヨー(1997〜)と新ハイパーヨーヨー(2004〜)のヨメガの同機種を比較して、今のほうが使いやすいという意見を聞きます。しかし、同じ金型を使っている製品である以上、よほどの材質の革新や部品形状の変化がない限り考えられないことです。

実は、当時と一番変わっているのは糸でした。

旧ハイパーヨーヨー時代に発売されたバンダイストリングス(通称バンスト、綿100%)は、とてもよりが弱く、コンディションを保ちにくい代物でした。新ハイパーヨーヨーでは、スリック6(綿50%、ポリエステル50%)が使われています。ストリングスの違いが、旧ハイパーヨーヨーの同機種とのフィーリングの差を生んでいるとも考えられます。

今一つとも思える綿100%ストリングスですが、2001年世界大会X部門チャンプの「てり〜」こと寺田君は、2004年までずっとバンダイストリングスを使っていました。どうやら自分のフィーリングに合っていたようです。

また、別のあるプレーヤーは、綿100%ストリングスを使用前に洗ってから使っていたそうです。硬くなってしまうだけだと思いますが、これも人それぞれということなのでしょうね。

ストリングスについて、いろいろな話題を書いてきましたが、自分に合ったものを使うのが一番です。いろいろなストリングスを試してみて、自分のフィーリングに合ったものを探してみてください。